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文章にどう使うか——丸ごと書かせない
構造を先に自分で作り、書かせる前に検討させる。実務で使っている6つの聞き方と、やってはいけない使い方を整理しました。
生成AIがいちばん日常的に効くのは文章の作業です。ただし、「書かせる」と「一緒に作る」では結果がまったく違います。
丸ごと書かせると、何が起きるか
指示だけ与えて全文を出力させると、次のようになりがちです。
- 整っているが、内容が薄い——読めるが、具体が入っていない。
- 誰が書いても同じになる——固有の経験や判断が入らない。
- 後から説明できない——なぜそう書いたかが自分の中にない。
- 事実が混ざる——確認していない記述が入り込む。
読み手が慣れてくると、この種の文章は見分けられるようになります。整いすぎていて、引っかかりがないという共通の質感が出るためです。
効く手順:構造を先に自分で作る
- 何を言いたいかを一文で書く——ここは自分でやる。ここがないと全部が空洞になります。
- 見出しだけ並べる——構造を自分で決める。
- 各見出しに入れる要素をメモする——具体例、数字、経験。
- ここでAIに渡す——「この構造で書いて」ではなく「この構造の弱点は」から始める。
- 本文を書く——AIに書かせてもよいが、具体は自分で入れる。
- 整える段階でAIを使う——重複、冗長、語調の揺れ。
4番目が要点です。書かせる前に、検討させる。構造の穴を先に指摘してもらうと、書いた後の直しが減ります。
いちばん使える聞き方
実務で繰り返し使っている問いかけを挙げます。
| 聞き方 | 得られるもの |
|---|---|
| この主張の最も強い反論は | 自分では思いつかない角度。小論文の再反論に直結 |
| この文章の弱点を3つ | 構造の穴。褒めさせるより有益 |
| 読者がここで疑問に思うのはどこか | 説明が足りていない箇所 |
| この段落は要らないのでは、と思う箇所は | 冗長の指摘 |
| ここで前提にしていることは何か | 言語化していない前提の発見 |
| 同じことを半分の長さで | どこが本質かの確認 |
「よく書けていますか」と聞くと、たいてい肯定的な答えが返ります。否定を求める形で聞くほうが実用的です。
文体を保つ
AIの出力は、放っておくと似た文体に寄ります。特徴として出やすいのは次のようなものです。
- 接続詞が多い
- 「〜することが重要です」で終わる文が続く
- 3点セットで並べたがる
- 結論を最後に置きたがる
- 実際には内容のない前置きが長い
対処としては、自分の過去の文章を渡して「この文体で」と指定する方法があります。ただし、これも完全ではありません。最終的には自分で読んで直すことになります。
推敲だけに使う
すべて自分で書いたうえで、推敲だけAIに任せるという使い方も有効です。
- 誤字脱字、表記ゆれ
- 同じ語の繰り返し
- 一文が長すぎる箇所
- 主語と述語のねじれ
- 指示語が何を指すか曖昧な箇所
この用途は確認が容易です。指摘された箇所を自分で読めば、直すべきかどうか判断できます。効く条件を満たしています。
翻訳と多言語
翻訳の精度は実用水準に達している場面が多くありますが、注意点があります。
- 専門用語は確認する——分野固有の訳語がずれることがあります。
- 公開する文書は、その言語が読める人に確認してもらう——ニュアンスの判断は自動化しきれません。
- 逆翻訳で確かめる——訳文を元の言語に戻して、意味が保たれているか見る。
やってはいけない使い方
- 実在の人物・団体の発言として書かせる——事実でない内容が流通します。
- 体験談を作らせる——実体験でない口コミやレビューは、景品表示法の観点でも問題になり得ます。
- 出典を「それらしく」付けさせる——存在しない文献が付くことがあります。
- 確認せずに数字を入れる——統計値は必ず一次資料で確認します。
2番目は特に注意が要ります。実際に利用していない人の体験談として書かれたものは、広告として問題になります。作成の手段がAIかどうかに関わらず、この線は変わりません。