生成AIが効く作業・効かない作業
「出てきたものが正しいかを自分で確認できるか」を基準に、効きやすい作業7つと危ない作業6つを切り分けました。
生成AIについての情報は、両極端に振れがちです。「これで仕事がなくなる」という話と、「使い物にならない」という話が同時に流れてきます。
実際に課金して業務と学習の両方で使ってみると、どちらも部分的に正しく、どちらも粗いと分かります。効く作業と効かない作業が、かなりはっきり分かれるためです。
お断り:生成AIの性能・機能・料金は短期間で変わります。この記事は作業の種類による向き不向きを整理したもので、特定のサービスの評価ではありません。具体的な仕様は必ず公式情報でご確認ください。
切り分けの基準は「正解が確認できるか」
効く/効かないを分ける基準として、いちばん実用的だったのは次の問いです。
出てきたものが正しいかどうかを、自分で確認できるか。
確認できるなら、生成AIは強力な道具になります。確認できないなら、使い方に注意が要ります。
たとえば、コードは動かせば確認できます。文章の構成は読めば判断できます。一方、知らない分野の事実関係は、確認する手段を持っていなければ判断できません。
効きやすい作業
| 作業 | なぜ効くか |
|---|---|
| 下書きを作る | ゼロから書くより、直すほうが速い。品質の判断は自分でできる |
| 自分の書いたものを検討させる | 「弱点は」「反論は」と聞ける。判断は自分に残る |
| 形式が決まった変換 | 要約、箇条書き化、表への整理。元があるので検証できる |
| 調べ物の入口 | 何を調べればよいかの見当がつく。裏取りは別途 |
| 大量の候補出し | 案を50個出させて選ぶ。選ぶのは人間 |
| 説明のしかたを変える | 分からない説明を、別の角度で言い直してもらう |
| 制作の下ごしらえ | 音楽・画像・動画・ページの叩き台。作り直しが安い |
効きにくい/危ない作業
| 作業 | 何が起きるか |
|---|---|
| 知らない分野の事実確認 | 誤りを自信のある文体で出す。判断材料がないと気づけない |
| 最新の制度・料金・仕様 | 学習時点より後の変更に追いつかない場合がある |
| 出典の提示 | 存在しない文献やURLが出ることがある。必ず自分で開いて確認する |
| 本人が語る必要がある文章 | 面接や口頭試問で説明できない。学習・受験で詳述 |
| 責任が伴う判断 | 医療・法務・税務。参考にはなるが、判断は専門家の領域 |
| 考える工程そのもの | 負荷が消える。理解した気になるが再現できない |
最後の行が、いちばん見えにくい害です。作業は終わっているのに、自分の中に何も残っていないという状態が起こります。
「自分が先に出す」があるかどうか
効く使い方と効かない使い方を、もう一段まとめると次になります。
自分が先に何かを出してから使うと、負荷が残る。先に聞くと、負荷が消える。
| 使い方 | 残るもの |
|---|---|
| 考える前に答えを聞く | ほとんど残らない |
| 自分の案を出してから検討させる | 差分を検討した分が残る |
| 反論を出させて、それに応える | 負荷はむしろ増える |
| 要約させて読む | 原文を読む負荷が消える |
| 自分で要約してから比較する | 要約力の確認になる |
これは道具一般に言える話でもあります。電卓が計算力を奪うかどうかは、筆算を身につける前に使うかどうかで変わります。
「AIで思考力が落ちる」という議論について
この論点は近年よく取り上げられます。ここでも、断定を避けて整理します。
分かっているのは、使い方によって結果が分かれるということです。上の表のとおり、負荷が残る使い方と消える使い方があります。
したがって「AIを使うと思考力が落ちる」も「落ちない」も、どちらも条件を欠いた主張です。問うべきは「どう使ったか」です。
仕事で使うときに追加で要ること
- 入力してよい情報の線引き——顧客情報、未公開情報、個人情報。社内規程がある場合はそれに従う。
- 出力の権利関係——生成物をそのまま商用利用してよいかは、サービスの規約と用途で変わります。
- 検証の担当を決める——「AIが出したから」は理由になりません。誰が確認したかを残す。
- 使ったことを隠さない——後から分かると、成果物全体の信頼が下がります。
2番目は用途によって扱いが違う領域です。音楽・画像・動画を公開する場合はとくに、利用規約と権利の扱いを確認してから使ってください。